作業場で 今までに幾多のカエルを見ました。自然の宝庫ですな。
商社マンら拘束 中国流「法治」の危うさ。東京新聞 社説。2月20日。
中国で大手商社・伊藤忠商事の男性社員が一年余も拘束されていることが明らかになった。中国当局は起訴内容も明らかにしておらず、異例の長期拘束は「法治」を踏みにじる人権侵害である。
四十代の男性は昨年二月、広州市を訪れた際に、国家安全当局に拘束され、同年六月に起訴されたという。中国報道官は十五日、「中国の法律に違反した疑いのある日本人を法に基づいて処理した」と述べ、拘束の事実を認めた。
国家安全当局が拘束したことから、国家機密を盗み取る罪やスパイ罪に問われた公算が大きい。無期懲役や死刑の可能性もある重罪であり、中国が情報公開をしないまま長期拘束し司法手続きを進めるのは法治の原則に反する。
懸念されるのは、習近平政権が二〇一四年に「反スパイ法」を成立させ、外国人監視を極めて厳しくしたことだ。一五年以降、今回の男性を含め邦人九人がスパイ容疑などで拘束された。そのうち四人が実刑判決を受けたというが、実態は明らかにされていない。
覚醒剤事件で死刑を含む重刑を求刑された元愛知県稲沢市議は一貫して無実を訴えているが、初公判から四年半近くになるのに判決が言い渡されない。弁護側は、日中関係が悪い時期の公職者の事件だったことが悪影響を及ぼしたとも指摘する。
だが、中国の法律は起訴から遅くとも三カ月以内に判決を出すように求めている。異例の長期拘束は甚だしい人権侵害であり、政治が司法に影響を与えるのなら、中国が唱える「依法治国」は言葉だけというほかあるまい。
今回の拘束について、菅義偉官房長官は「邦人保護の観点からできる限りの支援をしている」と述べた。容疑事実など関連情報の公表を中国に強く求めるべきだ。
宮本雄二・元中国大使は十六日、名古屋市での座談会で、中国進出企業の社員らに「現地の法律を徹底的に順守すべきである。中国での事件捜査には政治的影響もあり、中国人を摘発する反腐敗闘争の巻き添えになる可能性もある」と、アドバイスした。
日中友好団体幹部さえ拘束されている。恐怖心すら呼び起こすのは、何が犯罪に問われるか分からないという点だ。草の根交流への影響も懸念される。中国では軍事施設、国境地帯などでの写真撮影はスパイ行為に認定されかねない。駐在員も旅行者も行動には一層注意してほしい。