尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で中国海警局の船による領海侵入が常態化している問題で、マイケル・デュカキス元米マサチューセッツ州知事が主宰するシンクタンク「ボストン・グローバル・フォーラム」が21日に開かれた第2回オンライン国際会議で、柳井俊二元駐米大使らが尖閣諸島に対する日本の領有権の正当性を訴えた。
会議には日米などの有識者約30人が参加。柳井氏は「日本は明治28年の閣議決定で領土に組み入れ、第二次大戦後のサンフランシスコ平和条約で日本領土と扱われた上で沖縄の一部として米国の施政下に置かれたが、昭和47年の沖縄返還協定で日本に施政権が返還された」と日本の領有の根拠を示した。
兼原信克前内閣官房副長官補は、4半世紀異議を唱えなかった中国が尖閣領有の主張を始めたのは昭和44年に国連が石油埋蔵の可能性を示唆してからで、「同47年の日中国交正常化、同53年の日中平和友好条約交渉で尖閣諸島『棚上げ』合意はないことは公開外交記録で明らか」と述べた。
ロバート・エルドリッジ元在沖縄米海兵隊政務外交部次長は、「中国は大正9年に駐長崎領事の感謝状で『日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島』と記すなど日本主権を認めながら、昭和44年から領有権を主張するのは国際法に違反する」と訴えた。(岡部伸)